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2014年3月24日月曜日

加速度センサとロータリーエンコーダを組み合わせた速度計測法③:移動平均により生じる問題

今回は③:移動平均により生じる問題 について書きます。

前回、移動平均をとることで測定される速度が平滑化されること、平均をとる時間が長いほど平滑化作用が大きいことを紹介しました。今回は移動平均処理を行うことで生じる問題について書きます。

下のグラフは前回紹介した20(赤線)、50(緑線) ms間の移動平均で得られた速度と、目標速度(青線)を1つのグラフにまとめたものです。平均する時間が長いほど、加速時の速度の立ち上がり、減速時の立下りが遅れていることがわかります。要するに波形が右側にシフトしていきます。これが時間平均における問題です。


下の図に示すように、加速中に速度を計測するとき、移動平均で測定した速度と実際の速度にはズレが生じます。例えば、初速0、加速度を10 m/s^2とすると、10 ms間に速度は0.1m/sになりますが、10 ms間の時間平均で計測される速度は0.05 m/sで、実際の速度の半分になります。これは、5 ms前の速度を計測していることになります。測定される速度と実際の速度の間に遅延が生じるということですね。10 ms間移動平均すると遅延は5 msですが、移動平均20 msに増やすと遅延は10 msになり、どんどん遅延が長くなっていきます。


このことから、ロータリエンコーダのみで速度を計測する際、移動平均をとる時間が長くなるほど、計測される速度が平滑化される一方、遅延が長くなることが分かります。
一方、加速度センサをロータリエンコーダと併用すると状況が変わってきます。次回は加速度センサを用いて時間平均により生じる遅延を解消する方法を紹介します。

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